国立社会保障・人口問題研究所が公表している日本の将来推計人口 2050年予測は、現在の日本列島が向かいつつある未来を極めて冷酷に描いています。2050年には日本の総人口は1億人を割り込み、9,500万人前後まで落ち込むと推計されています。この段階に至ると、全国1,718市町村のうち約4割にあたる自治体が「若年女性人口が半減する消滅可能性自治体」の領域へ完全に突入します。
この人口動態がもたらす構造リスクは、単に「人が減って寂しくなる」という情緒的な問題ではありません。自治体の税収減に伴う「インフラの選択と集中(撤退戦略)」が不可避となる点です。上下水道の更新費用不足による料金の数倍化、地方道の維持放棄、救急車の到着時間の大幅な遅延など、これまで当たり前とされてきた行政サービスが維持できなくなるエリアが続出します。
人口動態の分析から導き出される教訓は明快です。個人の生活防衛の観点において、居住地を選ぶ基準を「現在の利便性」だけで決めるのは極めて危険です。その自治体が持続可能な人口規模(最低でも中心都市で20万〜30万人規模の都市圏)を維持できるか、あるいは独自の強力な地場産業(半導体集積で潤う熊本県菊陽町周辺や、医療・子育てに特化した先進自治体など)を持っているかを精査することが、10年後、20年後の資産価値と生活の質を守る絶対防衛線となります。