JR東日本管内でも屈指の乗降客数を誇る大宮駅は、新幹線全路線が分岐する要所であり、駅ナカ商業施設「エキュート大宮」には埼玉中の銘品が集結している。ここで注目すべきは大宮駅限定お土産の存在だ。近年、駅ナカ各ショップが鎬を削る中で、埼玉産の小麦粉や地場乳製品を使用したチーズケーキ、大宮マドレーヌ、そして鉄道博物館の街にちなんだ限定アソート缶など、ここでしか買えないパッケージがビジネスパーソンの足を止めている。
現地売り場の販売員に取材を行うと、「夕方の帰宅ラッシュや新幹線乗換時間帯には、荷物にならないコンパクトさと、一目で限定とわかるデザインを求める出張客が集中する」という証言が得られた。特に金曜日の夕刻には、埼玉出張の締めくくりとして大宮駅限定の生焼き菓子が瞬く間に完売する光景が日常化している。
一方、蔵造りの街並みで国内外の観光客を惹きつける川越エリアでは、川越銘菓 いも恋(菓匠右門)が揺るぎない人気を誇る。輪切りにしたサツマイモの上に北海道産つぶ餡を乗せ、山芋ともち粉をブレンドした生地で包んで蒸し上げたこの饅頭は、蒸したての温かい状態で食べるのが最高の贅沢とされる。観光地の店頭で湯気を上げる実演販売は、消費者の「本物の出来立てを食べたい」という本能を刺激してやまない。
埼玉ご当地お菓子 ネットの反応をSNSやレビューサイトで詳細に追跡すると、次のような現場の熱量が浮かび上がる。
「いも恋は観光地で食べた味が忘れられず、大宮駅や通販の冷凍便でリピート購入している。電子レンジで少し温めると、さつま芋のホクホク感と生地のもっちり感が完璧に蘇る」(30代女性・旅行者)
「会社の埼玉出身者が配ってくれた彩果の宝石が衝撃的だった。ゼリー菓子特有の人工的な甘さが一切なく、果汁そのものを噛んでいる感覚。今では自分が出張した際、指名買いしている」(40代男性・IT企業勤務)
ネット上の口コミ調査からも明らかなように、現代の消費者は派手な広告宣伝よりも、「実際に口にしたときの裏切りのない質感」に対して極めて敏感に反応している。