数々の名投手を輩出してきた日本球界ですが、MLB完全試合日本人投手の誕生は未だ実現していません。野茂英雄が2度、岩隈久志が1度のノーヒットノーランを成し遂げているものの、完全試合の領域にはあと一歩届いていないのが現状です。
その中で、MLB史上で最も完全試合に近づいた瞬間として語り継がれているのが、ダルビッシュ有完全試合未遂の劇的な一戦です。
2013年4月2日、ミニッツメイド・パークで行われたヒューストン・アストロズ戦。テキサス・レンジャーズの先発マウンドに上がったダルビッシュ有は、鋭く曲がり落ちるスライダーとノビのある直球を武器にアストロズ打線を完全に沈黙させました。8回まで一人の走者も許さず、9回裏も簡単に二死を奪って26連続アウトを記録。球場全体が固唾を呑んで見守る中、迎えた27人目の打者マーウィン・ゴンザレスへの初球でした。
外角低めの速球を捉えられた打球は、ダルビッシュの股間を抜けてセンター前へと転がる痛恨のヒット。あと1球、あとアウト1つの場面で大記録が露と消えた瞬間、ダルビッシュが見せた苦笑混じりの表情は、米メディアでも「最も残酷で美しい幕切れ」として大きく報道されました。試合後の記者会見で本人が「悔しさというよりは、打たれた瞬間に思わず笑ってしまった。それも野球」と語った言葉は、極限状態を戦い抜いたアスリートの生々しいリアルを物語っています。
一方、異次元の二刀流として球史を塗り替え続ける大谷翔平完全試合記録への期待も高まり続けています。ロサンゼルス・エンゼルス時代の2018年4月8日、本拠地デビュー戦となったオークランド・アスレチックス戦で、大谷は7回1死まで一人の走者も出さないパーフェクトピッチングを披露しました。さらに2022年4月のアストロズ戦でも6回1死まで完全ペースを維持するなど、圧倒的な球威と奪三振能力で幾度となくスタンドを沸かせています。
日本国内で完全試合を達成し、鳴り物入りで海を渡った佐々木朗希や、絶対的エースとして君臨する山本由伸らを含め、サムライ投手がメジャーの頂で完全試合を成し遂げる日は決して非現実的な夢ではありません。