動物園や街中で鳥を見上げる際、多くの人が「鳥の足は後ろ向きに曲がっている」と錯覚します。しかし、鳥類解剖学の見地から言えば、鳥が逆関節を持っているわけではありません。外から目に見えている長いスネのような部分は、人間でいう「足の甲」にあたる足根中足骨(そくこんちゅうそくこつ)が進化の過程で1本に癒合・伸長したものであり、後ろに突き出ている関節はかかと(足首)なのです。
では、肝心の鳥の足膝の位置はどこにあるのでしょうか。本物の大腿骨(太もも)と膝関節は、体幹の羽毛や皮膚の下、極めて高い位置に密着して格納されています。鳥類は常に「空気椅子」のように膝を深く曲げた姿勢を維持しており、歩行時に地面と接しているのは指先(趾)のみという完全な趾行性(しこうせい)の歩行様式をとっています。
この鳥の足逆関節の真相を理解すると、鳥がなぜあれほど俊敏に離陸できるのかが見えてきます。膝を体幹近くに固定して重心を安定させつつ、細長い足根中足骨と指のバネを連動させることで、筋力を最小限に抑えながら爆発的な跳躍力を生み出しているのです。これこそが、無駄な重量を極限まで削ぎ落とさなければならない飛翔生物が行き着いた、究極の鳥の足骨格の仕組みといえます。