歌詞の冒頭で描かれるのは、あまりにシンプルで純粋な世界の肯定だ。
「Sun is shinin' in the sky / There ain't a cloud in sight(空には太陽が輝き、雲ひとつ見当たらない)」
続くフレーズでは、街行く人々への呼びかけが始まる。「Hey you with the pretty face / Welcome to the human race(そこの素敵な顔をした君、人間の世界へようこそ)」。公式和訳をたどると、この歌詞が単に天気を祝うだけでなく、暗闇に閉じこもっていた自分自身をふたたび外界へと迎え入れる、自己再生のセレブレーションであることが浮き彫りになる。
「Mr. Blue Sky, please tell us why / You had to hide away for so long(ミスター・ブルー・スカイ、教えてくれ。なぜそんなに長い間隠れていたんだい?)」という問いかけには、悪天候(鬱屈とした精神状態)に対する恨み節ではなく、再び巡り合えた光への愛おしさが滲む。しかし、歌詞の終盤には「Mister Blue, you did it right / But soon comes Mr. Night(ミスター・ブルー、君はよくやってくれた。でももうすぐ夜がやってくる)」と、光の終わりを予感させる静かな影が落ちる。光があるからこそ影があり、束の間の青空だからこそ愛おしい。この絶妙なコントラストが、楽曲に時代を超える深みを与えている。
楽曲のラスト、ロボットボイス(ヴォコーダー)で呟かれる有名なフレーズは、多くのリスナーに「Mr. Blue Sky」と聴き取られてきたが、実際には「Please turn me over(裏返してください)」と発音されている。アナログレコードの2枚組として発売された当時、この曲が第3面の最後を飾っていたためだ。物理メディア時代の遊び心が、今も歌詞の結びとして公式に愛され続けている。