「日本の川や用水路でワニを見た」という情報は、単なる都市伝説なのでしょうか。調査を進めると、そこには「飼育個体の脱走・遺棄」と「稀に見られる自然漂着」という2つの紛れもない事実が浮かび上がってきます。
まず国内の河川での目撃例の大半は、ペットとして違法または不適切に飼育されていた個体が逃げ出したケースです。かつて規制が緩やかだった時代、幼体時には数十センチだったペットが巨大化し、飼い切れなくなって放流されたり飼育ケージを破壊して脱走したりするニュースが世間を騒がせました。自治体や警察による大がかりな捕獲作戦が展開された記録は複数残っています。
もう一つの極めて稀なケースが、イリエワニの日本近海への漂着です。オーストラリアや東南アジアに生息するイリエワニは海流に乗って数百キロ以上を移動する性質があり、過去には八重山諸島や奄美群島、さらには本州沿岸にまで黒潮に乗って流れ着いた記録が学術的に確認されています。自然繁殖しているわけではないものの、「日本の海域で遭遇する可能性が完全にゼロとは言い切れない」のが現実です。