パッタイ(Pad Thai)は、タイ語で「パット=炒める」「タイ=タイ王国(自由)」を意味し、直訳すると「タイ炒め」という壮大な名前を持つ料理です。日本のタイ料理店では親しみやすさから「タイ風焼きそば」と表記されるケースが多いものの、その中身は日本のソース焼きそばとは根本から異なります。
日本の焼きそばが蒸し中華麺(小麦粉)をウスターソースや濃厚ソースで香ばしく炒めるのに対し、パッタイのベースは米粉から作られる乾麺です。味付けの核を担うのは、果実由来の爽やかな酸味を持つタマリンドソース、芳醇な旨味を放つナンプラー調味料、そしてパームシュガー(ヤシ砂糖)のまろ快い甘味。これらが三位一体となり、「甘味・酸味・塩味」が絶妙なバランスで口いっぱいに広がります。
「タイ料理=激辛」というイメージを抱かれがちですが、パッタイ自体には唐辛子がほとんど入っておらず、辛さが苦手な方やお子様でも安心して楽しめる穏やかな口当たりが魅力です。仕上げにトッピングされる砕いたピーナッツの香ばしさと、途中で絞る生ライムの爽快な酸味が加わることで、最後の一口まで食べ飽きない立体的な味わいが完成します。