貴乃花氏の人生を振り返る上で、1995年5月に結婚した元フジテレビアナウンサー・河野景子さんとの23年間に及ぶ日々を避けて通ることはできません。かつて「世紀の結婚」と称賛され、貴乃花部屋の女将として角界を支えた二人が、なぜ2018年10月に離婚へと至ったのか。その河野景子との離婚理由の真相は、複合的なプレッシャーと価値観の乖離にありました。
最大の要因は、相撲部屋の運営と日本相撲協会との全面対立です。貴乃花氏は「相撲道」の純粋性を貫くあまり、協会執行部と激しく衝突。その過程で部屋の力士が巻き込まれた暴行問題の対応などを巡り、精神的な孤立を深めていきました。女将として弟子たちの生活を支え、後援会とのパイプ役を務めていた景子さんにとって、夫の急進的な闘争と2018年の突然の日本相撲協会退職・部屋解散は、生活の基盤そのものを根底から揺るがす事態でした。
もうひとつの決定打が、長男である花田優一氏の育成方針を巡る教育論の衝突です。イタリアで靴職人の修行を積み、帰国後はタレント活動も並行して行っていた優一氏に対し、職人としての厳格な修行と責任を求めた貴乃花氏と、母として息子の芸能活動や自由な自己表現を温かく見守り応援した景子さん。両者の教育観の溝は修復不能なレベルまで深まりました。離婚会見や後の手記で語られた「お互いの役割を卒業した『卒婚』」という美しい言葉の裏には、組織のプレッシャーと家庭内の不協和音が生んだ必然の破局が存在していたのです。