「ナスは切ったらすぐに水にさらしてアクを抜く」という手順が定説とされてきましたが、近年の品種改良と流通技術の向上により、この常識には大きな見直しが入っています。野菜の栄養成分分析を行う研究機関のデータによると、ナスのアクの主成分はクロロゲン酸などのポリフェノール類であり、強いエグみを感じる個体は激減しています。
むしろ、10分以上水にさらすアク抜きを行うと、ナス特有の紫色の色素成分である「ナスニン」や水溶性ビタミン、そして本来の甘み成分が水中に溶け出してしまいます。油炒めや煮物にする場合は、切ってすぐに加熱調理すれば褐変(黒ずみ)も防げるため、水さらしは完全に省略可能です。水っぽくならず、ナスの濃厚な風味をダイレクトに味わえるメリットがあります。
ただし、加熱せずにサラダや和え物などナスを生で食べる美味しい食べ方を選択する場合に限り、軽く塩揉みをして5分ほど置いた後に水気を絞る下処理が最適です。採れたての新鮮なナスを極薄の薄切りにし、少量の塩、大葉、ごま油、ポン酢で和えるだけで、まるでリンゴや水ナスのようなみずみずしいサクサク感と上品な甘みを堪能できます。