市販の鉢植えや簡易栽培キットを購入した際、多くの飼い主が直面するのが「購入からわずか3〜5日で葉先が黄変する」「根元に綿状の白カビが発生する」というトラブルである。この現象は飼い主の育成スキルの問題ではなく、販売形態そのものに起因する猫草がすぐ枯れる決定的な理由が存在している。
店頭で見栄えを良くするために、市販品の多くは小さなポリポットに燕麦(えんばく)の種を過剰な密度で敷き詰めている。限られた土壌容積に対して根が過密状態に陥る「根詰まり」が最初から発生しており、植物としての寿命が極めて短く設計されているのだ。そこへ良かれと思って受け皿に水を溜めるような給水を行うと、土壌中の酸素が遮断され、毛細根が一気に窒息死する。これが腐敗と黄変のメカニズムである。
さらに深刻なのが衛生面を脅かすカビの繁殖だ。室内気温が20℃〜25℃、湿度が60%以上に達する環境下では、密集した種子の隙間に停滞した水分がカビ菌(主にペニシリウムやムコールなどの糸状菌)の温床となる。これを防ぐための猫草のカビ防止対策には、物理的かつ化学的な予防線を張ることが欠かせない。
第一の防衛策は、種を蒔く前に流水でしっかりと揉み洗いし、殻に付着した浮遊有機物や胞子を洗い流すことだ。第二に、種同士が重なり合わないよう適度な隙間を空けて配置する「疎植(そしょく)」を徹底する。そして第三に、発芽までは風通しの良い日陰に置き、表面の水滴が乾ききる直前に霧吹きで最小限の水分を補給する管理へシフトすることである。
土を使った従来型の管理において、猫草を長持ちさせる水やり頻度は「土の表面が白っぽく乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与え、受け皿に溜まった水は1滴残らず捨てる」が鉄則となる。毎日惰性で上から水をかけ続ける行為は、根腐れとカビを人為的に促しているに等しい。