『徒然草』が数百年の時を超えて読み継がれているのは、兼好法師の残した言葉がいつの時代にも通用する普遍的な真理を突いているからです。有名な章段の徒然草の現代語訳を通して、彼の鋭い名言を見ていきましょう。
「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」(第137段)
(現代語訳:桜は満開のときだけを、月は雲ひとつない満月だけを見るものだろうか。いや、咲き始めや散り際、雨に隠れた月にこそ深い味わいがある。)
完全無欠の美しさだけでなく、不完全なものや移ろいゆくプロセスに価値を見出す「わび・さび」の美学を先取りした至高の名言です。
「友とするに悪き者、七つあり」(第117段)
兼好は付き合うべきではない悪友として「身分が高すぎる人」「若くて元気すぎる人」「病気知らずの頑強な人」「酒飲み」「嘘つき」「欲張り」「情けのない人」の7つを挙げています。トラブルを避けて平穏に生きるための人間関係の断捨離論は、現代のライフハックそのものです。
「大事を思い立たば、小事を取り残すべし」(第188段)
(現代語訳:本当に成し遂げたい大きな目標があるのなら、日常の些細な用事は思い切って捨て去るべきだ。あれもこれもと欲張っていては、結局何も達成できない。)
マルチタスクで集中力をすり減らす現代人にとって、耳が痛いほど本質を突いたアドバイスです。