SNSの普及に伴い、InstagramやPinterest上には「#保育壁面」「#映える製作」といったタグで、均一に整った美しい作品が毎日のように投稿されています。しかし、ここに現場を苦しめ、子どもの自発性を奪う最大の盲点が潜んでいます。
ネット上の美しい見本画像に引っ張られるあまり、「シールを枠線の中に綺麗に並べさせようと大人が手を添えすぎる」「意図した場所にスタンプを押せない子どもから道具を取り上げて保育士がやり直す」といった光景が一部で見られます。発達心理学において、2歳児はエリク・H・エリクソンの発達段階理論における「自律性 vs 恥・疑惑」のフェーズに位置しています。大人が介入して「手直し」を加える行為は、無意識のうちに子どもへ「あなたのやったことは不完全だ」という否定のメッセージとして伝わり、自己肯定感の芽を摘み取ってしまう危険性があります。
シールの位置が重なって団子状態になっていても、花火のスタンプが画用紙からはみ出していても、それは「今のその子」にしか表現できない尊い身体運動の軌跡です。見栄えを整えるのは台紙のカットラインや背景の配置など大人の枠組みだけに留め、画用紙の中の表現は100%子どもの主体性に委ねる勇気を持つことが、保育の質を担保する分水嶺となります。