業者に高額な見積もりを出された結果、「化粧カバーの後付けをDIYで自分で行うことはできないのか」と考える人は少なくありません。結論から言えば、「配管の背面と壁の間に十分な隙間があり、かつ直線部分のみ」という極めて限定的な条件下でのみDIYが成立します。
配管化粧カバーの業界標準として広く使われているのが、因幡電工(INABA DENKO)の「スリムダクトSDシリーズ(屋外用)」や「スリムダクトLDシリーズ(室内用)」です。因幡電工のスリムダクトを使った後付け方法は、製品の構造を正しく理解することから始まります。
スリムダクトは、壁面にビス留めする「ベース(裏板)」と、上からパチンとはめ込む「カバー(表蓋)」の2分割構造になっています。新品設置時であれば、壁にベースを固定したあとに配管を載せ、最後にカバーを被せるだけで完了します。しかし、既存配管への後付けでは、すでに壁に固定されている配管の裏側にベースを滑り込ませるという難作業が求められます。
DIY施工が成立する「安全なケース」
- 配管が壁から1cm以上浮いている:壁と配管の間に指が簡単に入り、ベースを滑り込ませる際に配管を一切手前へ引っ張る必要がない場合。
- 経路が完全な直線である:エルボ(曲がり部材)を使わず、配管穴から室外機まで一直線に降りているレイアウト。
プロでも危険視する「絶対NGなケース」
- 配管が壁にサドルバンドでガチガチに留められている:サドルを外した瞬間に配管が自重で垂れ下がり、接合部に急激な負荷がかかってガス漏れを引き起こす。
- 壁の貫通穴から出てすぐ直角に曲がっている:ウォールコーナー(出口パーツ)の裏にベースを通すには配管を力尽くで曲げ直す必要があり、銅管の折損リスクがほぼ100%に達する。
- 室内機の真裏から配管が出ている「左後ろ配管」:室内機を壁の据付板から完全に外さなければ裏板を通せないため、素人の手には負えない。
もし直線部でDIYを強行する場合でも、外壁への下穴あけ、サイディングに適したプラグやステンレスビスの選定、そしてビス穴からの雨水浸入を防ぐための変成シリコン系コーキング剤による入念な防水処理が欠かせません。見た目を良くしようとした結果、壁内への雨水浸入による柱の腐食や、冷媒ガス漏れによるエアコン本体の買い替えを招いては本末転倒です。