児童発達心理学の観点から見ると、1歳児における造形活動は「結果(作品)を残すこと」ではなく、「行為(感覚運動)そのもの」に主たる価値があります。指先の皮膚感覚を通して脳に刺激を送り、自分の働きかけによって外界が変化する様子を目撃することが、確固たる自己認識の礎となります。
しかし、すべての子どもが同じように製作を楽しめるわけではありません。子ども個々の気質に応じた判断基準を持つことが極めて重要です。
おすすめできる子ども(積極的に取り入れたいケース)
- 日頃から食事のつかみ食べを好み、泥や砂などの不定形な素材に抵抗がない子ども。
- 絵本や身の回りのキラキラしたもの、原色のコントラストに強い興味を示す子ども。
- 保育者の模倣を始め、「自分でやってみたい」という自己主張が芽生えている子ども。
慎重になるべき子ども(別のアプローチを検討すべきケース)
- 触覚過敏の傾向がある子ども:絵の具や糊が指先に触れただけで泣き出してしまう場合は、無理強いを絶対に避けるべきです。ジッパーバッグ越しに触れる手法や、手を使わない足形スタンプ、乾いたシール貼りに切り替える配慮が必要です。
- 異食傾向が強く口に物を運びやすい子ども:絵の具の代わりに食紅で色をつけたヨーグルトや寒天を使ったり、安全な食品由来のスタンプ台を用いるなど、環境設定を徹底的に安全側へ倒す必要があります。
大人が「見守る側」に徹し、子どもの生理的・心理的バウンダリー(境界線)を尊重すること。これこそが、乳児保育におけるプロフェッショナリズムの根幹です。