徒然なるままにの本当の意味とは?単なる暇つぶしではない兼好の真相

徒然なるままにの本当の意味とは?単なる暇つぶしではない兼好の真相

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『徒然草』のイメージを決定づけている「穏やかな随筆」という看板の裏にある最大の盲点が、序段の結びにある「あやしうこそものぐるほしけれ」という激しい語彙です。

古文において「ものぐるほし」とは、「気が狂いそうである」「常軌を逸した異常な心理状態になる」という意味を持ちます。現代の感覚でいえば、穏やかに日記帳を開いたはずの文筆家が、最後には「書いていたら頭がおかしくなりそうだ」と叫んでいるようなものです。

兼好法師は、心に浮かぶ「よしなしごと(他愛のないこと、取るに足らない雑念)」を意識的にコントロールして整然と書こうとしたのではありません。あてもなく(そこはかとなく)筆を走らせた結果、自らの無意識の奥底に澱んでいた記憶、人間の愚行への怒り、失われた美への渇望、そして死への恐怖といった感情が堰を切って溢れ出し、自我が呑み込まれそうになる恐怖と快感を味わっていたのです。

教科書ではこの「狂気」の側面がトーンダウンされ、お行儀の良い古典として教えられがちです。しかし、兼好法師が直面していたのは、静寂の中で自分の内なる混沌と向き合うという、精神的な極限状態そのものでした。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。