「自分ももしかして発達障害なのではないか」「身近なあの人の言動が当てはまる」と感じた際、客観的な目安となる指標が存在します。英国の心理学者サイモン・バロン=コーエンらが開発した自閉スペクトラム指数(AQ)や、医療現場で参考にされるアスペルガー症候群チェックリストから、成人期において顕著に表れる代表的な傾向を抽出しました。
- 「適当に」「いい感じに」「よしなに」と言われると、業務が全く手につかなくなる
- 相手が傷つくかもしれないと思っても、事実として正しいことを優先して口にしてしまう
- 複数人での雑談に入っていくタイミングが分からず、聞き役に徹するか一人で喋りすぎてしまう
- 言葉通りの意味で受け取ってしまい、皮肉や比喩、冗談を真に受けて周囲に笑われた経験がある
- 急な予定変更や手順の変更があると激しいパニックや強いストレスを感じる
- 興味のある特定のテーマについては何時間でも熱中して語り続けられるが、相手の関心の有無に気づきにくい
- 音、光、特定の素材の感触、あるいはオフィスの匂いなどに過剰な不快感を抱く(感覚過敏)
上記のうち多数に強い自覚がある場合でも、ネット上の簡易セルフチェックのみで自己判断を下すのは危険です。精神科や心療内科で行われる大人の発達障害診断テストでは、知能検査(WAIS-IV)による能力の凹凸の測定、成育歴(幼少期の行動様式)の丁寧なヒアリング、除外診断(うつ病、双極性障害、パーソナリティ障害等との鑑別)を数週間から数カ月かけて多角的に実施します。 では、どの段階で専門機関の門を叩くべきなのでしょうか。心療内科受診の目安となる決定的な基準は、「生活機能障害」が生じているかどうかです。単に「付き合いが苦手」という程度にとどまらず、「職場で解雇や配置転換の危機に瀕している」「人間関係の摩擦が原因で不眠、抑うつ、頭痛などの身体症状が出ている」「自己嫌悪で日常生活に支障をきたしている」段階に達している場合は、迷わず大人の発達障害を専門に掲げる精神科・心療内科を受診することが推奨されます。