ネット上や口コミで「夜ご飯抜きは逆に太る」と警告される背景には、生化学的な必然性があります。その最大の引き金となるのが、リバウンドの理由として真っ先に挙げられる筋肉量低下のデメリットと、翌朝に生じる血糖値スパイクの危険性です。
夕食を抜くと、昼食から翌朝の朝食までおよそ16〜18時間もの絶食状態が続きます。血中のアミノ酸濃度が枯渇すると、肝臓は血糖値を維持するために自らの筋肉を分解して糖を作り出す「糖新生(とうしんせい)」を活発化させます。その結果、脂肪よりも先に筋肉組織が削られ、何もしなくても消費される基礎代謝量が目に見えてダウンします。
さらに深刻なのがホルモンバランスの乱れです。長時間の飢餓状態に晒された体内では、副腎皮質からストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰分泌されます。コルチゾールは内臓脂肪の蓄積を促す作用を持つため、カロリーを制限しているにもかかわらず下腹部に脂肪がつきやすくなるという皮肉な現象を引き起こします。
空腹が限界に達した状態で迎える翌朝の食事では、インスリン感受性が極端に偏った状態になっています。ここで通常の炭水化物を摂取すると血糖値が急上昇・急降下する血糖値スパイクを招き、過剰に放出されたインスリンが血中の糖分を一気に中性脂肪へと変換してしまうのです。これが、夜ご飯を抜く生活を続けた人が「食事量を戻した途端に以前より太る」決定的なメカニズムです。