2026年秋場所、多くの大相撲ファンに激震が走りました。土俵上で常に鬼気迫る闘志を見せていた貴景勝が、現役引退を表明したのです。当時まだ28歳という若さでの幕引きは、角界内外に大きな衝撃を与えました。
その決断の最大の引き金となったのが、長年彼を苦しめ続けた深刻な首の怪我(頸椎椎間板ヘルニア)です。頭から鋭く当たる代名詞の「突き押し相撲」は、常に首へ強烈な負荷をかけ続けていました。晩年は腕に激しい痺れが走り、力が入らなくなるほどの神経障害と闘いながら土俵に上がり続ける日々が続いていたのです。
「大関としての責任を果たせない相撲は取りたくない」「自分の相撲が取れなくなったら未練なく土俵を去る」――本名である佐藤貴信の名の通り、織田信長のような信念を持ち続けた彼は、ボロボロになった肉体と向き合い、一切の言い訳を排して潔く引退を決意しました。