「立山の標高は何メートルですか?」という問いに対し、山岳関係者や気象の現場では即答に一瞬の間が空きます。地理学・測量学上の定義において、「立山」という単一の山頂は存在しないからです。
古くから信仰の対象となってきた「立山」は、広義には雄山(おやま)、大汝山(おおなんじやま)、富士ノ折立(ふじのおりたて)の「立山三山」、さらには浄土山や別山を含む立山連峰一帯を指す広域名称です。その中でも一般的に「登頂」として扱われる場所と、地形上の最高地点には次のような明確な違いがあります。
立山連峰の最高地点は、立山最高峰の大汝山(標高3015m)です。山頂直下には映画の舞台にもなった大汝休憩所があり、北アルプスの荒々しい岩肌と黒部湖、後立山連峰を眼下に収める大パノラマが広がります。
一方で、登山者の大半が目指す宗教的・象徴的な主峰は立山雄山(標高3003m)です。雄山の山頂には雄山神社 峰本社が鎮座し、夏山期間中は神職が常駐してお祓いを受ける参拝登山が行われています。「立山に登ってきた」と語る一般登山者の多くは、この標高3003mの雄山山頂を踏破したことを指しています。
さらに、大汝山へ続く稜線上にそびえる富士ノ折立(標高2999m)は、あと1mで3000m峰の大台に乗る峻険な岩峰であり、立山三山の一角を形成しています。つまり、「立山の標高」を正確に理解するためには、信仰の拠点である雄山(3003m)と、最高峰である大汝山(3015m)の2つの数字を押さえておく必要があります。