茶道裏千家15代前家元の千玄室もまた、特攻の暗い影を背負って戦後を生きた一人だ。学徒出陣によって大日本帝国海軍に入隊した千は、特攻隊「第一神風特別攻撃隊」に編成された。同期の仲間たちが次々と出撃し、二度と戻らない空へと飛び立っていくのを、彼は見送るしかなかった。
「一碗からピースフルネスを」。終戦後、千が世界中を巡り、お茶を点てて平和を呼びかけ続けた動機は、まさに特攻基地で共に遺書を書いた戦友たちへの鎮魂だった。百歳を超えてなお静かに語られる彼の言葉は、生存者の罪悪感と平和への強い誓いに満ちている。