「台湾では売春が合法化された」という言説を耳にしたことがあるかもしれません。結論から言えば、この認識は重大な法規上の誤解です。現在の台湾において、性売買行為は実質的にすべて違法とみなされます。
この混乱の原因は、2011年に改正された「社会秩序維護法(第80条)」の規定にあります。法改正により、地方自治体が指定する「性産業特区(性専区)」の区域内で行われる売買春に限り、処罰の対象外とする道が開かれました。つまり、法制度としては合法化の枠組みが存在しています。
しかし、制度の導入から現在に至るまで、台湾全土のいかなる地方自治体も性専区を設置していません。住民の反対運動(NIMBY現象)や選挙への影響を恐れる首長たちの意向が背景にあります。特区がゼロである以上、台湾域内で行われる売買春はすべて「特区外での違法行為」に該当し、法律の条文上、完全にアウトとなる二重構造が生じています。