【2026年現地取材】世界を揺らす日本の美学「和彫り」——背中一面に宿る歴史と職人の魂

【2026年現地取材】世界を揺らす日本の美学「和彫り」——背中一面に宿る歴史と職人の魂

【2026年現地取材】世界を揺らす日本の美学「和彫り」——背中一面に宿る歴史と職人の魂の全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。

和彫りにおいて背中という空間は、特別な意味を持つ。構図の骨格をなすのは、大きく分けて二つの表現様式だ。主役となる図柄の背景を雲や波、岩などで余すところなく埋め尽くす「額彫り(がくぼり)」。そして、モチーフそのもののシルエットを際立たせる「抜き彫り(ぬきぼり)」である。

額彫りは、背中全体を一つの壮大な「絵巻物」へと昇華させる。漆黒の墨が描く背景のグラデーションは、中心の絵柄に圧倒的な立体感と奥行きを与える。一方で抜き彫りは、余白の肌と鮮烈な図柄との対比によって、直線的な力強さを生み出す。どちらを選ぶのか。それは依頼主自身の美的感覚と、彫師との緊迫した対話の中で決まっていく。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。