まず押さえておきたいのが、平之山の読み方と位置関係です。一般的には「ひらのやま」または「へいのやま」と呼称され、地域や参照する古地図によって発音の差異が見られます。漢字表記が示す通り、なだらかな地形的特徴(平坦部を持つ山地陵線)に起因するという地形由来説と、中世の武士団や平氏の落人伝説に結びつく歴史由来説の2系統が古くから議論されてきました。
平之山の場所に関しては、山岳信仰が色濃く残る山間部および旧街道の要衝に位置しており、古くは交易路の結節点として機能していた記録が残されています。地方自治体の郷土史料編纂室が保管する『地名由来覚書』の記述を参照すると、江戸中期にはすでに「平之山」の名で農耕地および入会地としての境界協定が結ばれていた事実が確認できます。