視聴者の最大の関心事であり続けた「高橋弘幸(田中哲司)を殺害した犯人は誰なのか」——。物語は失踪した聡明な息子・慎司や、借金トラブルから当夜に現場から猛スピードで逃走した遠藤啓介(宮迫博之)を容疑者として提示しながら二転三転のサスペンスを展開しました。
明かされた犯人の真相は、妻の高橋淳子(石田ゆり子)です。
事件当夜、医師である父・弘幸は、成績が急落していた慎司に怒り狂い、激しい体罰と罵詈雑言を浴びせていました。絶望した慎司が激昂して父親に向かっていくと、弘幸はさらに激怒し、ガラス製の重厚なトロフィーを持ち上げて我が子を殴打しようとします。その狂気を目の当たりにした母・淳子は、息子を守りたい一心で弘幸からトロフィーを奪い取り、背後から夫の後頭部を一撃してしまったのです。
淳子は息子に罪を着せないために慎司を逃亡させ、一人で罪を背負う覚悟を決めました。逃亡を続けた慎司を精神的に庇い続けたのは異母兄である良幸(安田章大)でした。湊かなえによる原作小説では、各家庭の独白を通じて冷淡な社会の視線と家族間の修復不能な溝が強調されるビターな幕切れですが、ドラマ版では遠藤真弓が激怒する彩花を抱きしめ、「どんなに壊れても、ここが私たちの家なんだ」と現実に踏みとどまる家族の再構築劇として、よりエモーショナルな昇華を遂げています。