李牧の緻密な罠を具現化するのが、側近たちの現場指揮能力です。なかでも異彩を放つのが、白髪の青年将校舜水樹(しゅんすいじゅ)です。
舜水樹は北方の匈奴討伐戦で李牧に見出された経歴を持ち、匈奴の言語を操るなど出自に多くの謎を残しています。橑陽の戦いでは犬戎族を巧みに手なずけて楊端和軍を兵糧攻めで追いつめるなど、冷徹かつ柔軟な謀略を得意とします。
また、雁門時代からの李牧の片腕である馬南慈(ばなんじ)は、強烈な一撃で敵陣を粉砕する趙軍の切り込み隊長です。さらに、身軽な体術を駆使する傅抵(ふてい)や、李牧の身辺警護を一手に担うカイネなど、李牧への絶対的な忠誠心で結ばれた幹部陣が秦軍の侵略を強固に防ぎ止めています。
一方で、かつて「趙の守護神」と呼ばれた総司令官扈輒(こちょう)は、平陽の戦いで桓騎の奇策に屈しました。圧倒的な兵力差がありながら、自身の本陣の守りを過信し、桓騎の潜伏・奇襲戦術を見抜けなかったことが痛恨の敗因となりました。