なぜ「ほろよい」は、アルコール度数7〜9%の高アルコールRTDブームの波や、近年のノンアルコール市場の拡大を経てもなお、強固なシェアを維持し続けているのでしょうか。ここには現代社会における若年層〜現役世代の飲酒行動の質的変化が深く関係しています。
社会学・消費行動論の視点から見ると、若者を中心とした「ソバーキュリアス(あえてお酒を飲まない、または微量で楽しむ生き方)」や「タイムパフォーマンス(タイパ)重視」のライフスタイルが定着したことが挙げられます。かつての「酔うために飲む」「人間関係の潤滑油として大量に飲む」という昭和・平成初期の集団的飲酒文化から、令和の時代は「自分の機嫌を取るためのチルアウト(リラックス)」へと飲酒の動機が大きくシフトしました。
過度な泥酔による翌日への悪影響や体調不良を避けたい、しかし完全にノンアルコールでは日常の緊張感がほぐれない――。この繊細な心理的ニーズに対し、「アルコール度数3%」という絶妙な設計が見事な「心理的バウンダリー(境界線)」として機能しています。
「ほろよい」は、趣味や動画鑑賞、SNSといった個人のプライベートな時間を邪魔することなく、日常から適度にリラックスした状態へグラデーションのように移行するためのツールとして、独自の生活価値を提供し続けているのです。