体内の排泄物をすべて出し切った終齢幼虫は、サナギになるための安全な場所を求めて激しく動き回ります(ワンダリング)。飼育ケースのフタ裏や割り箸など、垂直または斜めの安定した足場を見つけると体を固定する儀式が始まります。
前蛹(ぜんよう)からサナギへの劇的変態
幼虫はまず尾部を糸の台座(尾座)に固定し、次に自らの口から吐いた丈夫な絹糸で胴体をループ状に支える「帯糸(たいし)」を作ります。頭を上にして背中を反らせた状態で完全に動かなくなるこの期間を「前蛹(ぜんよう)」と呼びます。
前蛹になってから約24時間後、背中の皮が縦に裂け、中から薄緑色または褐色のサナギがつるりと現れます。サナギ化の瞬間は非常にデリケートであり、帯糸が外れて落下しないよう飼育ケースを一切動かさず静置することが不可欠です。
夏型羽化と越冬蛹(えっとうよう)の見極め方
サナギになった後、羽化するまでの時期は日照時間と気温によって完全に制御されています。
- 夏型(春〜夏のサナギ):日照時間が長い初夏〜盛夏にサナギになった場合、およそ10日〜14日ほどで羽化します。羽化前日になるとサナギの殻が透明になり、内部の黄色と黒の翅の模様がはっきりと透けて見えてきます。
- 越冬蛹(秋のサナギ):9月下旬以降、日照時間が短縮する秋にサナギになった個体は、体内で休眠ホルモンが分泌され「越冬蛹」となります。このサナギは年内には羽化せず、冬の厳しい寒さを乗り越えて翌年の4月〜5月頃に羽化します。
越冬蛹を暖かい室内に置いたままにしておくと、季節を勘違いして真冬(12月〜2月)に羽化してしまい、寒さと餌不足で死んでしまいます。秋にできたサナギが2週間経っても羽化の兆候(透け感)を見せない場合は越冬蛹と判断し、暖房の効かないベランダの日陰や玄関先など、外気温と同じ冷暗所に移動させて春まで管理してください。