かつて社会現象となった高額転売パニックを覚えているだろうか。品薄状態に乗じた買い占めや悪質な転売行為に対抗するため、政府は強力な法的手段を発動した。その中心となったのが「国民生活安定緊急措置法」である。同法に基づく格段の措置により、当時は購入価格を超える価格での衛生マスク転売が全面的に禁止され、違反者には懲役や罰金という重い罰則が課された。
その後、供給体制の回復とともに法的な特例措置自体は解除されたものの、厚生労働省や消費者庁などの行政機関が定めた「不当な価格吊り上げ行為への厳格な監視姿勢」は緩んでいない。転売規制の法的な縛りが解けたからといって、何をしても自由になったわけではないのだ。社会的インフラとしての責任を問われる現代において、市場の自浄能力が常に試されている。