店の中だけに留まらない機動力も、このベーカリーのトレードマークだ。諏訪地域やその周辺の山間部を網羅する移動販売車は、いまや地域の生活インフラとして欠かせない存在になっている。
高齢化が進む集落や、近所にショップがない地域へ、焼きたてのパンと温かい笑顔を直接届ける。クラクションの音が鳴り響くと、近所の住民たちが自然と集まり、世間話の花が咲く。単にモノを売るのではない。買い物に行く楽しみと、人と人が出会う場所を届けているのだ。現場で交わされる温かい会話は、かつての商店街にあった活気を現代に蘇らせている。