升毅の役者人生は、決して平坦なエリートコースではなかった。若き日の関西小劇場時代、チケットノルマと稽古に追われ、金銭的にも困窮を極めていた時期に彼を最も近くで信じ抜いたのが一般女性である妻だった。周囲が将来を不安視するなかでも、彼女は夫の才能を疑わず、家庭を守り抜いたという。
升毅といえば業界内でも屈指の料理好きとして知られるが、日々の体調管理や過酷な撮影現場を乗り切るための栄養面を裏で支えていたのは妻の愛情深い手料理だった。不規則な生活が続く演劇の世界で、胃袋とメンタルを整える家庭料理の存在は計り知れない。多忙を極めた時期や体調を崩しかけた過酷な現場にあっても、妻が工夫を凝らした温かい食卓が、彼の役者としてのスタミナと精神的なタフネスを保ち続けた。