英語で梅を調べると、従来の辞書にはまず「plum」と出てくる。だが、ここに大きな罠がある。西洋で「plum」といえば、赤紫色で甘みが強く、生のまま皮ごと丸かじりする果実を指すからだ。日本の酸っぱい梅を想像して語ると、相手の頭には全く別の甘いフルーツが浮かんでしまう。
かつてアメリカ英語の基礎を築いたNoah Websterの辞典編纂の時代には、東アジア固有の植物が正確に分類されていなかった。しかし現代のOxford University Pressが刊行する大辞典や、Cambridge Assessment Englishのようなグローバルな語学評価機関では、地域の固有種に対する記述の精度が劇的に向上している。植物学的に言えば、梅はスモモ(Prunus domestica)よりもむしろアンズに近く、学名はPrunus mume。英語圏の食通や植物好きにはJapanese apricotと説明する方が、果実の性質を正確に伝えられるのだ。