1980年代後半のバブル経済期、六本木や銀座の街頭でアンテナを伸ばした携帯電話を耳に当て、大声で商談をまとめるビジネスマンの姿は一種のステータスシンボルでした。お笑い芸人のコントやバラエティ番組でも「バブル期の象徴」としてたびたびパロディ化される光景です。
しかし、当時の利用者が直面していたのは過酷なアナログ携帯電話の通話料金でした。第1世代(1G)のアナログ方式だった当時、通話料は距離と時間帯によって細かく設定されており、昼間の長距離通話では6秒で10円(1分あたり100円)、最も高い料金設定では1分間で数百円が課金されるケースも珍しくありませんでした。
ちょっとした長電話を1本かけるだけで数千円が吹き飛ぶ計算となり、企業の重役や証券マン、テレビ関係者、あるいは一部の富裕層でなければ日常的に持ち歩くことは到底不可能な贅沢品だったのです。