升田幸三が生涯のモットーとして掲げた言葉が「新手一生(しんていっしょう)」です。他人の真似を激しく嫌い、「誰も指したことのない新しい手を創り出すことこそ棋士の命」と言い切った升田の思想は、多くの将棋ファンや後進の棋士を魅了しました。その創造性が結実した代表作が、現代でも広く指されている升田式石田流です。
従来の石田流三間飛車は手数がかかり守備的な側面がありましたが、升田は飛車先をダイナミックに突き捨て、序盤早々から主導権を握る超攻撃的布陣へと進化させました。この革命的な構想は、現在プロ公式戦の最前線で指される三間飛車の基盤となり、優れた新戦法に贈られる「升田幸三賞」の象徴となっています。また、自らの棋士人生を振り返った「たどり来て 未だ山麓」という名言にも、盤上の真理を探究し続けた求道者としての魂が色濃く刻まれています。