デジタル空間に氾濫する健康情報の中には、医学的な根拠が希薄なまま拡散されている誤解が数多く存在します。なかでも特に是正すべき2つの盲点を取り上げます。
第1の誤解は、「生理前に茶色いおりものが出たら、必ず何らかの病気か妊娠である」という短絡的な認識です。実際には、ホルモンの微小な乱れによる中間期出血(消退性出血)が最も頻度の高い要因です。仕事の繁忙期や睡眠不足、急激なダイエットなどによって黄体機能がわずかに低下すると、内膜を維持しきれずに微量の剥落が起き、それが酸化して茶色く排出されます。身体が大きな病気にかかっているわけではなく、過労や生活リズムの乱れを警告する「休養の合図」であるケースが臨床上は大半を占めます。
第2の盲点は、「おりものシート(パンティライナー)を毎日着けていれば清潔を保てる」という思い込みです。下着を汚さない利便性はあるものの、吸水ポリマーや化学繊維でできたシートは通気性を著しく損ないます。高温多湿を好むカンジダ菌や雑菌にとって、長時間交換されないライナーは格好の温床となります。「清潔に保とうとしてライナーを常用した結果、かえって膣炎を引き起こす」という皮肉な悪循環に陥っている女性は極めて多いのが現実です。