顎舌骨筋は、オトガイ舌骨筋・顎二腹筋・茎突舌骨筋とともに舌骨上筋群を構成しています。その作用は、大きく分けて「口腔底の挙上」「舌骨の前上方挙上」「開口の補助」の3点です。
嚥下(飲み込み)における舌骨挙上のメカニズム
食物や水分を口腔から咽頭、食道へと送り込む嚥下第2期(咽頭期)において、舌骨上筋群の協調運動は生命維持に直結する働きをします。
顎舌骨筋が収縮すると、舌骨が前上方へと力強く引き上げられます。この舌骨挙上に連動して喉頭蓋が倒れ、気管の入り口が瞬時に閉鎖されます。同時に食道入口部が大きく開大し、食塊が気管へ誤入することなく食道へとスムーズに通過します。顎舌骨筋の出力が低下すると喉頭の引き上げが不十分になり、誤嚥やムセ、引っかかり感を引き起こす直接的な引き金となります。
発声と開口のサポート
舌骨が固定されている状態では、顎舌骨筋が収縮することで下顎を後下方へ引き下げ、スムーズな口の開きをサポートします。また、舌の位置を底上げして口腔容積を変化させるため、明瞭な母音の発声や滑舌の維持にも深く関与しています。