脳神経外科と脳神経内科の最大の分岐点は、「物理的な手術によって病変を取り除くか」「薬物や点滴で機能回復・症状抑制を図るか」という治療アプローチにあります。
脳神経外科は、脳腫瘍、くも膜下出血、頭部外傷、脳出血など、物理的な圧迫解除や止血、血管形成を要する病態を専門とします。近年では頭蓋骨を開ける開頭手術だけでなく、足の付け根や手首から細い管を通す「脳血管内治療(カテーテル手術)」の領域も急速に進化しています。
一方、脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・筋肉の疾患を内科的に診断・治療する診療科です。パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患、多発性硬化症や重症筋無力症などの自己免疫疾患、てんかん、片頭痛などの慢性頭痛、認知症の鑑別診断などを担います。
神経内科から「脳神経内科」へ名称変更された背景と理由
かつては「神経内科」と表記されていましたが、日本神経学会の主導により2018年前後から「脳神経内科」への標榜変更が進められました。その最大の理由は、「精神科」や「心療内科」との混同を解消するためです。
メンタルヘルスや心の不調を扱う精神科・心療内科に対し、脳神経内科はあくまで「脳や神経の器質的・機能的異常」を内科的に治療する専門科です。名称に「脳」を冠することで、患者が受診先を正しく識別できるよう配慮された経緯があります。