絵の具において茶色は独立した原色ではなく、「暗いトーンの橙色(オレンジ)」または「すべての原色が混ざり合って明度が落ちた状態」に位置づけられます。光の三原色(RGB)が重なると白に近づく「加法混色」とは異なり、絵の具は混ぜるほど光を吸収して暗くなる「減法混色(CMY)」の法則に従います。
そのため、色の三原色に近い「赤」「青」「黄」を一定の比率で組み合わせる、あるいは色相環で正反対に位置する「補色(反色)」の関係にある2色を混ぜ合わせることで、鮮やかさが適度に抑えられた自然な茶色が立ち現れます。美術大学の基礎講義でも「既製の茶色(バーントシェンナやローアンバーなど)をそのまま塗るよりも、自ら混色した茶色の方が画面全体の色彩調和を格段に高められる」と指導されており、混色技術の習得は表現力を劇的に引き上げる鍵となります。