赤城乳業の技術陣が注ぎ込んだ情熱は、皮肉にも味の再現性において限界を突破していました。「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」のパッケージ裏に記された原材料名には、アイスらしからぬ異様な素材が並んでいました。
外側はナポリタン風味キャンディー、内側にはナポリタン風味かき氷を配置し、さらに氷の中にトマトケチャップ風味のゼリーを散りばめるという徹底ぶりでした。タマネギエキスやトマト果汁、ピーマンの風味まで計算に入れ、昔ながらの喫茶店の炒めたナポリタンをアイスで完全再現することに成功してしまったのです。
しかし、この「忠実すぎる再現」が仇となりました。発売初日からSNSやネット掲示板には、購入者たちの生々しい悲鳴が溢れかえりました。
- 「口に入れた瞬間は甘いのに、溶けると油で炒めたケチャップとタマネギの臭みが鼻を突き抜ける」
- 「冷たいナポリタンではなく、ナポリタン味の甘い何か。トマトゼリーの食感が不気味すぎる」
- 「ひと口でギブアップした。職場の同僚に配っても全員一口でフリーズした」
- 「アイスを食べているのに胸焼けがする。もはや合法的な罰ゲーム」
コーンポタージュやシチューは「甘じょっぱい乳製品」としてスイーツの枠組みに辛うじて収まっていましたが、ナポリタンの「トマトの酸味」「炒め油の風味」「タマネギの苦味」は氷菓と決定的に相容れませんでした。話題性による「初動の1本」は売れたものの、リピート購入率がほぼゼロに落ち込むという、食品ビジネスにおいて最も致命的な結末を迎えたのです。