熊本屋台村の真骨頂は、人と人との距離の近さにある。カウンター越しの店主との距離、そして隣り合う客との距離はわずか数十センチ。肩が触れ合いそうな絶妙な狭さが、初対面の壁を一瞬で壊してしまう。
熊本の人間は「肥後もっこす」と称され、頑固で無骨なイメージを持たれがちだが、酒が入ればこれ以上なく人懐っこく温かい。東京からの出張者、関西からの一人旅、地元企業の会社員が同じ長椅子に腰掛け、「それ美味そうですね、何頼んだんですか?」という一言から会話が弾む。スマホの画面から目を離し、目の前の人間とグラスを合わせる体験。この濃密なリアルさこそが、多くのリピーターを生み出す秘密だ。