「人間の顔には約40個の表情筋があり、これらは脳の運動野と直結しています」と、都内の美容クリニックで多くの症例を見てきた形成外科医の佐藤氏は指摘する。怒り、不安、喜びといった感情が沸き起こるたび、特定の筋肉が収縮する。これが何万回、何百万回と繰り返されることで、筋肉は肥大化し、あるいは衰退していく。
結果として、無表情でいるときでさえ、皮膚のたるみ方やシワの刻まれ方に「過去の感情の履歴」が残ることになる。常に不満を抱えている人の口元がへの字に曲がり、楽観的な人の目尻に優しいシワが寄るのは、物理的なトレーニングの結果に他ならない。顔は、いわば人生の「履歴書」なのだ。