アンジェルマン症候群の臨床像は、年齢によって変化する。新生児期は筋緊張低下と哺乳不良が目立つが、6カ月頃から発達の遅れが顕在化し、1歳を過ぎるとてんかん発作が出現するケースが急増する。国内の患者レジストリ調査(2026年集計、n=342)によれば、てんかんの合併率は約85%に達し、その多くが1〜3歳で発症する。発作型はミオクロニー発作や非定型欠神発作が多く、薬剤抵抗性を示す例も少なくない。
特徴的な症状として知られるのが、頻回の笑い発作と易興奮性だ。これは「幸せそうに見える」と誤解されがちだが、実際には神経学的な興奮状態の表出であり、本人の感情とは必ずしも一致しない。また、発話の消失または著しい制限(多くは数語程度)、失調性歩行、手の常同運動(羽ばたき様)、睡眠障害も高頻度で見られる。
診断基準は、国際的なコンセンサス(Williamsらによる改訂基準)に基づき、①発達遅滞と知的障害、②言語の著しい障害、③運動障害、④行動特異性(笑い・易興奮・常同運動)、⑤てんかんまたは異常脳波——の組み合わせで臨床診断され、最終的には遺伝子検査(メチル化解析・UBE3Aシーケンス)で確定する。日本では小児神経科が主科となり、療育センターや大学病院の遺伝子診療部門が連携する体制が一般的だ。