多くの人々が疑問を抱いたのは、「なぜ若者たちが死に至るほどの暴行を加え、金品まで奪うに至ったのか」という点です。地元紙や全国紙の社会部記者が報じた捜査記録によると、発端は被害者の長谷さんと、逮捕された女子大学生・八木原亜衣被告との間で生じていた男女間の諍いでした。
長谷さんと八木原被告は交際関係にありましたが、些細な金銭の貸し借りや日頃の言動、別れ話を巡って不満を募らせていたとされています。この江別事件 トラブルの理由として浮き彫りになったのは、当事者同士での対話による解決を放棄し、八木原被告がアルバイト仲間で友人の川村葉音被告に「彼氏とのトラブルを懲らしめてほしい」と相談を持ちかけたことでした。
相談を受けた川村被告は、自身の交際相手である少年を含む地元の不良グループを招集。当初は「文句を言って謝罪させる」程度の意図だったものが、夜間の閉ざされた空間に複数人が集まったことで、暴力の歯止めが効かなくなっていきました。心理学的に「集団極性化(グループ・ポラリゼーション)」と呼ばれる現象が発生し、個々の倫理観が麻痺した結果、暴力が自己目的化していったとみられています。
さらに許しがたいのは、暴行の最中あるいは直後に、長谷さんの財布からキャッシュカードを抜き取り、暗証番号を聞き出した上でコンビニATMから現金約12万円を不正に引き出していた事実です。暴行に加えて金品を奪う明確な意図が生じていたことから、警察および検察は単なる傷害致死ではなく、法定刑が死刑または無期懲役のみである「強盗殺人罪」の適用へと舵を切りました。交際の縺れという日常的な悩みが、集団の共鳴と短絡的な物欲によって、取り返しのつかない最悪の凶悪犯罪へと変貌を遂げたのです。