人気温泉がレジオネラ菌で営業停止?基準値大幅超過の真相と再開の条件

人気温泉がレジオネラ菌で営業停止?基準値大幅超過の真相と再開の条件

人気温泉がレジオネラ菌で営業停止?基準値大幅超過の真相と再開の条件とはどんな影響があるのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

報道各社の取材や自治体の公表資料を分析すると、温泉施設が営業停止に追い込まれる発端の多くは、定期水質検査における基準値の大幅な超過や、医療機関から保健所への「レジオネラ肺炎患者の発生届」です。公衆浴場法に基づく基準では、浴槽水中のレジオネラ属菌は「10CFU/100mL未満(検出されないこと)」と厳格に定められています。それにもかかわらず、過去の重大事案では基準値の3,700倍や数万倍という極めて異常な数値が記録されてきました。

なぜ、これほどまでに菌が増殖してしまうのでしょうか。最大の温床となっているのが、浴槽の湯をろ過して再利用する「循環式浴槽」の配管内部です。温泉成分や人体の皮脂汚れが付着した配管内には、ゼラチン状の微生物の集合体である「バイオフィルム(生物膜)」が形成されます。このバイオフィルムは強力なバリアとして機能するため、通常の塩素消毒だけでは内部まで浸透せず、バイオフィルムの中でアメーバなどの原生動物に寄生したレジオネラ属菌が爆発的に増殖していきます。

厚生労働省の衛生管理要領では「完全換水(お湯の全量抜き替え)は毎日、少なくとも週1回以上」と定められていますが、営業停止処分を受けた施設の中には、光熱費や水道代の節約、あるいは清掃の手間を省く目的で、お湯の入れ替えを数か月に一度しか行っていなかった事例も発覚しています。安全対策を形骸化させ、目先のランニングコスト削減に走った結果が、利用者の生命を危機に晒す営業停止という最悪の結末を招いています。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。