立行司への昇進は、単なる年功序列では決まりません。土俵上での正確無比な判定能力、聞き取りやすく張りのある呼び上げ(声)、機敏な身のこなし、そして何よりも「品格・見識」が厳密に審査されます。
相撲史において、立行司が長期間「空位」になる事態が度々発生してきました。記憶に新しいところでは、2015年に第37代木村庄之助が定年退職した後、約9年間にわたり木村庄之助が空位となる異常事態が続きました。当時の式守伊之助(第40代)による不祥事や処分、後任候補の度重なる差し違えによる評価保留が重なり、相撲協会は「立行司の権威を安売りしない」という頑格な姿勢を崩しませんでした。
関係者の証言によると、「差し違えが年間複数回重なれば、どんなにベテランであっても庄之助への昇格は見送られる」とされており、土俵の裁定がいかに重い評価基準であるかが分かります。数々の試練と世代交代を経て、現在は新たな伊之助・庄之助の襲名が進み、伝統の継承ラインが再構築されています。