インターネット上や一部の解説本において、『養生訓』は「江戸時代の厳しい禁欲主義」「お酒や娯楽をすべて断つ教え」と誤解されるケースが散見されます。しかし、これは明らかな誤認です。
実際の益軒は、酒について「酒は天の美禄であり、少量であれば血行を良くし、気分を陽気にして百薬の長となる」と肯定的に評価しています。戒めているのはあくまで「泥酔して理性を失うこと」や「夜遅くまで深酒をすること」です。
また、食事においても「身体を温める旬の食材」を好んで食べることを推奨し、季節ごとの味覚を楽しむことを大切にしていました。益軒が伝えたかったのは「完全な排除」ではなく「適度な調和(中庸)」であり、自分の適量を知ってコントロールすることこそが養生の要です。