なぜ中国当局はこれほどまでに大規模な統制を行うのか。ウイグル弾圧の理由と背景には、歴史的経緯と国家戦略の双方が深く絡み合っています。
第一の要因は、民族間の摩擦と治安維持です。2009年のウルムチ騒乱をはじめ、過去に発生した暴動やテロ事件を契機に、当局はウイグル族のイスラム信仰や民族的連帯を「国家の分裂を招く治安上の脅威」とみなす方針を決定的に強めました。
第二の要因は、巨大経済圏構想「一帯一路」における新疆の地政学的重要性です。新疆ウイグル自治区は中央アジアやヨーロッパへと繋がる陸上ルートの最重要拠点であり、豊富な石油・天然ガス・石炭資源を有しています。国家のエネルギー安全保障と経済拡大を推し進める上で、この地域の完全な掌握と社会的一体化が最優先課題と位置づけられた結果、予防的拘禁と徹底的な同化政策が断行されるに至りました。