ネット上の速報コメント欄などで散見されるのが、「中日対広島の試合はスコアが動かず退屈」「両軍ともに打撃陣が打てないだけではないか」という短絡的な批判です。しかし、セイバーメトリクスやトラッキングデータ(トラックマン等の球道計測)の客観的指標を紐解くと、この認識は決定的な誤解であることが分かります。
広大なファウルゾーンと高いフェンスを誇るバンテリンドーム、天然芝特有の打球減速と風の影響を受けるマツダスタジアム。球場特性(パークファクター)において、本塁打が出にくい環境であることは事実です。しかし、両チームのバッテリーが展開しているのは、打者のスイングプレーンからミリ単位で外す精密なコマンドと、ゾーンを立体的に使う配球術です。
投手陣の球速や変化球のキレは球界トップクラスであり、打撃陣が消極的なのではなく、投手の球質が打者の狙いを上回っているのが本質です。単なる「貧打戦」ではなく、1本の安打や1つの四球が持つ戦術的価値が極めて高いハイレベルな攻防であると理解してこそ、このカードの真の醍醐味が立ち現れてきます。