その披露宴は、華美な演出を競う一般的な芸能関係者のパーティーとは一線を画す、家族の血と汗の歴史を清算するような神聖な空気に満ちていました。主役である弟の晴れ舞台に参列した横山裕は、親族席の最前列で誰よりも深い感慨を抱きながら見守っていたといいます。
披露宴のクライマックス、新郎である弟から兄へ向けられたサプライズの手紙が読み上げられました。便箋に綴られていた手紙の内容は、世間一般の「仲の良い兄弟」という枠組みを遥かに超越したものでした。
「お兄ちゃんがいてくれたから、今の僕があります。父親のいなかった僕たちにとって、お兄ちゃんはずっと父親でした。どんなに仕事が忙しくても、自分の身を削って僕たちの学費を払い、育ててくれて本当にありがとう」
震える声で読み上げられる感謝の言葉に、参列していた友人や親族はもちろん、式場のスタッフまでもが涙を拭いました。そして、何よりも感情を決壊させたのが横山本人でした。人前で弱音を吐くことを極度に嫌う彼が、顔をくしゃくしゃにして大号泣する姿は、どれほど重い荷物を一人で背負い続けてきたかを物語っていました。
さらに式中、兄から弟へ向けた返礼として披露されたのが、トランペットの生演奏でした。30代を過ぎてから猛特訓を開始し、唇を腫らしながら音を紡ぐ姿は音楽番組などでも知られていますが、この日奏でられた音色は、技術の上手い下手を超えた魂の旋律でした。不器用ながらも真っ直ぐに弟の門出を祝う兄の演奏に、再び式場中が温かい涙で包まれたのです。