検索窓に車名を入れると現れる「買ってはいけない」「値崩れ」という不穏なサジェスト。しかし、中古車査定士や業界関係者への取材を進めると、この現象は決して「致命的な欠陥を抱えた不人気車」であることを意味していません。相場が軟化した背景には、構造的な3つの要因が存在します。
第1の要因は、トヨタが仕掛けた「クラウン群戦略」の完成による需要分散です。クロスオーバーの単独発売から遅れて「スポーツ」「セダン」「エステート」が順次市場へ投入されたことで、当初「新しいクラウンだから」とクロスオーバーを選んだ富裕層やアーリーアダプターが、自身の好みに合致する別ボディ(特にスポーツやエステート)へ乗り換える動きが一斉に発生しました。これにより良質なクロスオーバーの下取り車が短期間に中古市場へ溢れ出たのです。
第2の要因は、初期生産分のKINTO(サブスクリプション)および法人リースの満了放出です。ビジネス用途や社用車として登録されていた車両が3年契約を終えてオークションへまとまって出品されたため、供給量が需要を一気に上回る需給の逆転が生じました。これがネット上で「安売りされている」「値崩れした」と騒がれる直接的な数字の正体です。
第3の要因は、旧来のファンによる保守的なパブリックイメージとのギャップにあります。伝統的なFR(後輪駆動)クラウンを愛してきた層からの「車高が高く樹脂パーツが多い外装はクラウンらしくない」という初期の批判的バイアスが、ネットのクチコミ掲示板や知恵袋等に過剰に残存している点が挙げられます。クルマの本質的な性能低下ではなく、心理的なアレルギーと流通供給のダブつきが重なった結果に過ぎません。