長年、映画業界やテレビ番組のサウンドデザインにおいては、観客の「猛禽類=雄叫び」という固定観念に応えるため、本物の声ではなくあえて迫力のある別の鳥類の音源がオーバーダビングされてきた。しかし、近年のリアル志向的高まりとともに、制作現場のパラダイムシフトが起きている。
最新の立体音響技術の普及により、偽物の音源では映像のリアリティが損なわれるとクリエイターたちが気づき始めたからだ。録音技師たちが過酷な断崖絶壁に足を運び、マイクを設置して採取した生の音源。本物の声が持つ独特の空気感と緊迫感が、劇場のスピーカーを通じて観客の耳孔を揺さぶる時代が到来している。